ホームへ

走れ! 半ズボン隊

+ Menu

よみもの一覧へ

メニューバーを表示
よみものリストへ
ゾラン
Zoran Drvenkar
「走れ! 半ズボン隊」について 

 この物語はそもそも、ぼくがちょうどグレゴアと食事に出かけようとしたときにひらめいたという奇妙なきっ
かけで誕生した。ちょうど靴ひもを結んでいるときに、短い文章が頭のなかに浮かんだから。

 おまえたちが「半ズボン隊」か、とおっさんがたずねた。
 ぼくたちはうなずく。そう、ぼくたちが「半ズボン隊」さ。

 これがいったいなにを意味するのか、ぼくにはさっぱりわからなかった。でも、作家は常々、自分の内面から
きこえる声に耳を傾けるもの。ぼくは、はきかけていた靴を脱いで家のなかに戻り、机にむかうと、その文章を
書き留めた。食事中に、グレゴアにそのことについて話をした。すると彼はいった。
 「『半ズボン隊』っていい響きだな」ぼくにとって、それだけで十分だった。この短い文からどんなふうに、
またなぜすべてが始まったのかは、いまだに謎だ。とにかく、ぼくはある日、カナダを舞台にした4人の少年の
物語を書き始めた。カナダという国をよく知らないだけに、ぼくは半ズボン隊の世界に入っていくのがとても楽
しかった。そして、ちょっとアットホームな味わいがほしかったので、ぼくはこれを少し特別な本にしようと思
いついた。だからアンドレアス・シュタインヘーフェルに、この本の訳者になったふりをしてくれないかときい
てみた。さらに二人の作家とペンネームをでっちあげ、オレ・ケネッケにも、この話に乗らないかと持ちかけて
みた。ぼくがこんなパッケージを携えて出版社に乗り込んだら、驚いたことにカールセン社はやろう、と賛成し
てくれた。
 そして、秘密は2年間、大事に守られた。残念ながら出版社とは色々あって、痛みを伴う思いもしたため、半
ズボン隊の続編はべつな出版社、ブルームズバリー社から出ることになってしまったけど。痛みはときとして避
けられないものだし、カールセンとはすばらしい思い出もたくさんあったし、もうとやかく言わないことにする。
いずれにしろ、そんなふうに半ズボン隊は誕生し、以来、ずっとお騒せな存在だ。
 子供たちがぼくによく寄せる質問はじつに簡単だ。「ゾラン、どうしてそんなバカなことばっかりするの?」
ぼくの答えもかんたん。「面白そうだったからさ」二人の作家にそれぞれ履歴を作っちゃったりすることが。ぼ
く自身がカナダにいったことがないから、カナダ出身でカナダにくわしい作家たちがいた方が都合よかったし。
それに、読者にとっては結局だれがストーリーを書いたかなんてあまり関係ないんだろうと思ったから。肝心な
なのは、本がおもしろいってことだろ?それに、本人でさえ謎でわからない、ってことをときどきやらなくちゃ、
人生つまらないじゃないか。
 それでも、まだぼくの返答じゃもの足りない人は、二人のカナダ人の作家が説明として書いた手紙を読むといい。


 みんなへ

 おおきな謎を明らかにし、混乱を解くために、ぼくらは真実を語りたいと思う。つまり、こういうことだ。
「半ズボン隊」は、作家のゾラン・ドヴェンカーが奇妙なことを思いつくのが楽しくてしょうがないやつだ、
というところから発生した。奇妙なことというのは、風変わりなキャラクターを物語に登場させるだけじゃ
なく、風変わりな作家も登場させちゃうことでもあったりする。そんなわけで、ぼくら二人の作家はでっち
上げられてしまった。イヴとぼくは、はじめ、あまり気が進まなかった ―― だって、作家にでっち上げ
られた存在になんて、いったいだれがなりたいと思う? でも、「半ズボン隊」のストーリーをきかせても
らったとたんに、ぼくらの気は変わった。こんな伝説なら、文句ナシだったから。
 次に、ゾランは友人のアンドレアス・シュタインヘーフェルにきいたんだ、訳者として「半ズボン隊」伝説
の片棒を担ぐ気はないかって。アンドレアスは、この思いつきをひどく気に入り、本文に注釈をつけ、まえが
きを書くことを申し出た。あとはイラストだけだ、とゾラン・ドヴェンカーはまた別な友人のオレ・ケネッケ
にスケッチを何枚か頼んだ。作家たちも、イラストレーターもこの計画に満足し、「半ズボン隊」の本ができあ
がった。信じられないことに、読者のなかには、アンドレアス・シュタインヘーフェルがこの本を書いた、と
思い込んだものもいた。これにはぼくらもひどく驚いた。だって、目隠しして読んだって、A.シュタインヘー
フェルがこれとは全然別な、独自の文体をもっていることは明らかだったから。でも、こういう思い込みって、
けっこうよくあることらしい。だから、カナダの名において、そんな読者を許そうと思う。
 読者のみんなが、「半ズボン隊」の複雑な生い立ちに理解を示してくれますように。ただ、確かなのは、スニ
ッカーズ、イスランド、それにルドルフォもこの企みをすごく気に入っているということ。もちろん、セメン
トもきっとそうだ。彼の場合、だいたい4時間後にやっと理解するんだと思うけど。
 話をきいてくれてありがとう。続編が出るまで、ぼくらの事を覚えていてね。     Vic & Yves

© Zoran Drvenkar
Herzlichen Dank an Zoran

作者、ゾラン・ドヴェンカー氏のホームページよりコメントを引用・翻訳させていただきました。
日本語版では、二人の(架空の)カナダ人作家のペンネーム(ヴィクトア・カスパクとイヴ・ラノワ)ではなく、
作者の承諾を得て、はじめからゾラン・ドヴェンカーの名前で出てますので、そのへんの異なる事情を念頭に
おいてお読みくだされば幸いです。 S.K.

雑記へ
inserted by FC2 system